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ファイバーレーザの出力を測定したい!教えてレーザックス! ~パワープローブ編~

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ファイバーレーザの出力を測定したい!教えてレーザックス! ~パワープローブ編~

なぜレーザの出力確認をするの?

 前回(2023年1月号)のレーザックス通信(下記参照)でご紹介した再現性のあるレーザ加工をするための重要なパラメータの1つとして、レーザの出力確認があります。レーザ出力が違うと加工現象も変わってしまうことから、パワメータやパワープローブを使って、レーザの出力測定は日常点検の項目に追加してもらいたい作業の1つです。

パワー測定前の重要ポイント!

 パワメータ(またはパワープローブ)にレーザを照射するだけでパワー測定は簡単にできますが、測定前に事前に検討が必要な重要ポイントが3つあります。

 ①機器の
仕様確認 
 機器によって、仕様が違うため、下記の項目をチェックしよう!
 1. アパーチャー径 (有効径)
 2. 損傷閾値 
  ・最大パワー密度 ※詳細はこちら
  ・最大エネルギー密度 (パルス発振の場合のみ) ※後日紹介予定
 3. (記載があれば) 最小1/e²ビーム径  
 ②ビーム径
の選定
 ①の仕様をもとにパワーメータに投入するビーム径を選定しよう!
 ※詳細はこちら
 ③距離の
確認
 ビーム径が決まったら、加工ヘッド(光学ユニット)とパワメータ間の距離を確認しよう!
※詳細はこちら


 この重要ポイントを押さえながら、今回は当社が保有するGentec-EO社製パワープローブ PRONTO-500を使って、実際に出力測定を実施しました。ぜひご覧ください!



パワー密度ってどうやって計算するの?

 動画内でご紹介したように仕様値を超えたレーザ光をパワーメータ(またはパワープローブ)へ投入してしまうと、レーザの受光面が焼けてしまい、正しい測定ができないどころか、破損してしまいます。
そのため、機器の取扱説明書に記載のある「最大パワー密度」や「最大エネルギー密度(パルス発振の場合のみ)」、「有効径(投入可能なビーム径)」 や「(記載がある場合のみ)最小ビーム径」を確認し、できる限りビーム径を広げた状態で測定する必要があります。
 
 有効径や最小ビーム径はパワー測定時のビーム径と比較するだけですが、パワー密度は下記の計算式を使って、算出する必要があります。今回はCW(連続波)発振での測定を実施しましたので、パワー密度について説明します。
※パルス発振の場合に検討が必要な「エネルギー密度」については、後日紹介予定です。



【例題】出力が 2kWでビーム径(直径)がφ30mmの場合のパワー密度は?
※計算するときは単位に気を付けましょう。

パワー密度 = 2 / (π× 1.52) = 0.28 kW / cm2
 ただし、この数値はパワー密度が均一であると仮定した場合になりますので、注意が必要です。 実際にどういった手順でパワー測定の時のパワー密度やビーム径を検討していくのかを次項にて説明します。

パワー測定時のパワー密度やビーム径はどうやって決めれば良いの?

 動画でも使用したGentec-EO社製PRONTO-500を使って、パワー密度やビーム径の決め方を確認していきましょう。

① 機器のアパーチャー径(有効径)・損傷閾値(最大パワー密度)・(記載があれば) 最小1/e2ビーム径を確認します。


② 300Wを測定したいので、今回は500W時の損傷閾値(最大パワー密度)のビーム径を算出します。

 


5 = 0.5 / πr2
r2 = 0.5 / (π×5) ⇒ r = √(0.5 / (π×5)) = φ0.178 cm = φ1.78mm
直径のビーム径⇒ φ1.78mm×2 =  φ3.56mm

ただし、このビーム径φ3.56mmは、フラットトップビームの場合(パワー密度が均一であると仮定したとき)の値になります。実際は、ガウシアンビームのためビームの強度分布が異なります。そのため、当社では安全をみて、少なくとも3倍のビーム径以上になるように検討しています。よって、φ10.7mm(φ3.56mm×3)より大きいビーム径であれば、問題ないことになります。

 ここで注意点として、メーカの取扱説明書を確認すると、「できるだけ大きいビーム径で測定してください。」と強調されています。メーカや機種によって、推奨のビーム径が異なりますが、基本的に有効径の1/2~2/3程度が推奨されています。詳細は、各機器の取扱説明書をご参照するようにしてください。

③ 上記でビーム径が確定したら、そのビーム径を得るための距離を算出するのみです。

この距離を算出するために発振器や加工ヘッドの仕様の確認が必要です。
※詳細は下記をご参照ください。



設備の仕様上、この距離の制限があるかもしれませんが、アウトフォーカス側での測定を推奨しています。


【重要】発振器の設定・距離・ビーム径の条件が1つでも違う場合、測定結果が変わってしまいます。
パワー測定結果の再現性を高めるために、毎回、同じ条件でパワー測定ができるようパワー測定用プログラムを作成することを推奨します!


今回は、パワープローブの使い方や測定時に確認が必要なパワー密度やビーム径の検討方法は分かりましたでしょうか?
もう少し詳しく話が聞きたい、ぜひ使ってみたいという方は、下記までお問い合わせください。





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