レーザ加工Q&A Q1-6 レーザ光の品質はどのように評価しますか
①ビームの形状とM2
レーザ光は光強度がガウス分布になることからこのモードの基本モードTEM00を基に評価するために,分かりやすいM2値が使われています。
TEMnmのときのビームの広がり角度θ(半角)と焦点のビーム半径wの積とM2の関係は次式のように表現されます。
M2=θ・w/θ0・w0
ここでθ0,w0はTEM00の時の値です。したがってM2値はTEM00のときのθ0・w0がTEMnmのマルチモードになったときにθ・wが大きくなっていく割合を示しています。表4に安定共振器のビームモードTEMnmとM2値の関係を示しましたがマルチモードになるとM2値が大きくなり,ビームが広がり焦点も大きくなっていく様子が分かります。レーザ切断ではこの強度分布によって切れ味がかなり異なっており,基本モード,すなわちM2が1に近いことが望ましいです。
②レーザの広がり角(BPP)
共振器から出たレーザ光は図12に示すように一定の広がり角で広がる性質がありますが,種々の共振器からでた光はそれぞれ異なった広がり角度を持っており,これを評価するためにBPP(Beam Parameter Product)が使用されています。
これは先ほどのビーム広がりの半角度θと焦点のビーム半径wの積であり,単位はmm*mrad(ミリメータ×ミリラジアン)で表しています。またBPPは,
BPP=θ・w=M2×λ/π
で示されますが,ここでλは光の波長です。なお,この角度とビーム径は半角,半径で扱っていますが,全角,直径で扱う表示もありますので注意が必要です。
表4 ビームモードとM2値
モード名 | M² |
TEM00 | 1 |
TEM10 | 2.70 |
TEM20 | 4.48 |
例えばNd:YAGレーザは波長が1.064μmでTEM00であればBPPは0.34mm*mradとなり,これはレーザ光が1m進んでも0.34mmしか広がらないことになります。
一方,ビームモードがTEM20の場合はM2が4.48(表4)になるので,BPP=1.5mm*mradとなり約5倍広がることになります。
「溶接技術」 2005年5月号~9月号 掲載 荒谷 雄 著
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