レーザ加工Q&A Q2-6 ビーム集光に関連して,焦点形状の変形はできますか
ティグ溶接のような熱伝導型の溶接,表面の熱処理,ろう接などでは焦点位置をずらすことで焦点形状を大きく変形させてエネルギー密度を下げる例があります。
しかし,溶接品質を改良する目的でレーザビームの焦点形状を光学的に変形したツインスポット(マルチスポットまたは2焦点スポットとも呼ばれています)を用いる例があります。CO2レーザでは図8(a)のように屋根型ミラーや放物面(パラボラ)ミラーでビームを分割してツインスポットを得ています。主に厚板の切断が目的のようです。また同図(b)では分割ミラーを使用し,このミラーをNC制御してツインスポットの間隔や出力の割合を変えたり,オシレーション動作をさせたりする例もあります。
Nd:YAGレーザでは同図(c)のようにコリメーションレンズと集光レンズの間に石英ガラスの楔板を入れてこの出し入れ量によってツインスポットの間隔を制御しています。このビームのエネルギーをプロファイラーで測定した例を図9に示します。焦点の離れた位置から焦点位置までの4箇所を測定していますが,ツインスポットが均等なエネルギーで2分割されている様子が分かります。
また,同図(d)のようにファイバーを2本並べたツインファイバーを使用し,これを集光することでツインスポットを得る方法もあります。この場合のビーム 間隔はツインファイバーの設計で決まり,メーカーでは何種類か用意しています。またファイバーを3本三角形に配置したトリプルファイバーの例もあります。これらの場合,発振器の2分岐,3分岐出力を各ファイバーに入力する方法と,複数の発振器の出力から入力する方法があり,後者はビームの高出力化や特性の異なるビームの複合化などの目的で使用されます。ツインスポット溶接では適正な間隔を取ることで写真4に示すようにブローホールの低減に効果があり,他にテーラードブランクの溶接,複合材料の溶接,ギャップ・目違い裕度の向上などに利用されています。
「溶接技術」 2005年5月号~9月号 掲載 荒谷 雄 著
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