レーザ加工の原理
子供の頃に、灼熱の太陽の下、汗を流しながら虫眼鏡を上下に動かし、ここだ!という所で暫く待つと、紙が燃え始める。そんな経験ありませんか?レーザ加工とは、この原理を利用した加工です。太陽が、レーザ光に変わり、虫眼鏡が専用のレンズに変わっただけです。
レーザビームをレンズで集光させると、焦点では非常に高いパワー密度になります。太陽光と虫眼鏡では、紙が燃える程度ですが、レーザビームを集光させると鉄板も簡単に溶けてしまいます。これは、レーザのエネルギーが鉄板の表面で吸収され、鉄板の表面温度が上昇し、瞬時に鉄の沸点に達する為です。
レーザは、容易に出力を制御出来ます。よって太陽の様に、雲の流れを心配する必要はありません。簡単に出力を調整でき、照射する時間を調整する事によって、鉄板表面の温度状況をコントロールする事が出来ます。

加熱だけ行う
レーザ焼き入れなど
融点まで温度を上げる
溶接・切断、孔(穴)あけ加工など
沸点まで温度を上げる
マーキング、クリーニング加工など
という様に、この3つの温度状況をコントロールする事によって、レーザ加工を行なう訳です。
代表的なレーザ加工種の原理を解説!
レーザ孔あけ、レーザ切断 ~ガスで吹き飛ばせ!~
レーザビームを集光させ、材料の温度を融点まで上げ、高圧でガスを吹き付けます。溶融した材料が、ガスにより吹き飛びます。ここで、加工を止めれば小さい穴の出来上がり。これが穴あけ加工になります。
※加工ガスは、金属なら酸素(燃焼反応を利用する)、非金属なら不活性ガスを利用すると良い。
※加工ガスは、金属なら酸素(燃焼反応を利用する)、非金属なら不活性ガスを利用すると良い。
次にレーザを照射したまま、材料を右へ左へ動かせば、さまざまな形状に切断出来ます。これが、レーザ切断です。

レーザ溶接 ~ガスは優しく~
レーザビームを集光させ、材料の温度を融点まで上げます。溶けた部分が大気中の酸素に触れない様にする為、不活性ガスを吹きかけます。この時、ガス圧が高圧だと、溶けた部分が吹き飛んでしまうので、ガス圧は低く設定します。溶けた材料Aと材料Bが混ざり合います。材料の温度が下がり凝固点まで達すると、2つの材料が結合されます。これがレーザ溶接です。

レーザマーキング ~色も付けられる~
レーザビームを集光させ、材料表面の温度を融点~沸点まで上げます。溶けた部分にガスを吹きかけます。ガスの種類によって、マーキングの色を変える事が出来ます。(例:ステンレス材アルゴン:金色窒素:白~銀色酸素:黒色)
同じ場所で、照射を続けると溶けてしまうので、直ぐに移動させます。(材料表面だけを溶かします)

レーザ焼き入れ ~硬くなれ!~
レーザビームを広げ、鋼の温度を融点以下でかつ、変態点以上(911~1392℃)まで上げます。酸素に触れない様にする為、不活性ガスを吹きかけます。材料自身の熱拡散により、急速冷却されます。レーザの場合、急激に加熱する事が出来るので、金属自体が熱を伝導して全体に熱が拡散するのを利用して、水や油を使わずに急速冷却が可能なのです。急速冷却によって、鋼の堅さが増大します。(焼き入れとは、日本刀を鍛える際に用いられる手法です)
